★ ルイスの心境

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「環境ががらりと代わり、それに心と体がついていけていないのでしょう」 「ここに来たことが、シエルの負担になっているということ?」  城に戻り、医師にみせるとそんなことを言われた。あんな場所にいるより、ずっといい環境を与えたいと思っているのに、それがシエルの負担になっているというのか。 「良くも悪くも環境の変化は負担をかけます。慣れるまでは仕方のないことでしょう。ただ、それ以上に問題なのは、心臓の動きが少し悪く思えます」 「心臓・・・・・・?」 「これまでの負担が大きかったんでしょう。あまりこれからは負担をかけないように気を付けなければ、いつか心臓は動きを止めてしまいます」 「そんな・・・・・・。どうすれば・・・・・・」 「よく効く薬草があります。毎食後に薬草を煎じて飲ませてください」  しかし、それはとても苦く、飲みづらい薬草だという。心臓の動きがよくなるまで続けなければならないため、シエルには多少苦行となってしまうだろうということだった。それでも、命を落とすよりはいいだろう。どうにか飲ませなくてはと心に決める。  もっと早くに、出会えていれば。もっと早くに、助け出せていれば。後悔先に立たず。まさしくその通りだった。
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