もしも陰キャが陽キャに恋をしなかったら

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恋愛なんてものは、所詮承認欲求を満たすための自己満足に過ぎない。 高校生にもなれば周囲はもれなく桃色に彩られ、口を開けばやれ彼女と海へ行った、LINEで告白された、喧嘩していた彼氏と仲直りしたなどこの世で1番どうでもいい他人の幸せ話が飛び出してくる。 だからどうした。 恋愛なんてものは、ただただ子孫を残すために人類が受け継いできた生理的欲求の延長の産物に過ぎず、年齢的に、社会的に子供を産むことの出来ない彼等は、なんの生産性もない状態で原始的欲求を満たすため仮の快楽を楽しんでいるだけなのだ。 つまり、猿以下なのである。糞なのである。 人間は知性の生き物であるべきだ。 己の中にある動物的な欲求こそ、理性で抑えることによって自信を完全に管理し制御するべきなのだ。 恋愛して(うつつ)を抜かしている一般的に“リア充”と言われる人間達は至急爆発し灰になり、今までしてきた自らの行いが如何に愚かで恥ずべき物であったかを自覚し、懺悔しなければならない。 兎にも角にも。 恋愛は、罪である。 愛などというものは、本来欲から生まれる空想の産物に過ぎない。 脳内が桃色に染まったうつけ者がこの日本という国の大半を占めている現実は、人類にとって由々しき事態なのだ。 私は屈しない。 真に生物として優れているのは、彼等ではなく私達のような“孤高の探求者”であり、我々は本来教室の隅に追いやられるような存在ではない。 そう。人類は一刻も早く、我々(非リア)がどれだけ高尚で尊い存在であるか気付くべきなのだ。 「く、クククク」 結論に至ると同時に、喉の奥からクツクツと笑いが込み上げてきた。 涼し気な風が頬に当たって気持ちが良い。 ーーー愛川(みやび)。高校2年新学期一日目、帰り道での出来事だった。
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