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「痛いよぉ、、、やめて、、、もうしません、、、ごめんなさい、、、ごめんなさい、、、」 物心着いた頃から怒られた時にこの言葉を言うのが当たり前になっていた。 母はいつも悲しそうだった。父がいつも、別の女の人と歩いてるからだ。それも、ひとりじゃない。何人も。 その度に父と喧嘩をし、私だけを愛してと叫ぶ母を見ていた。そんな父は母に対して冷めきっているのが幼い私にも理解出来た。 父を振り向かせたいと狂ったように望んだ母は、高く分厚い化粧をし、色とりどりの高そうな服をいつも着ていた。 私には何も買ってくれないのに。 母は私を邪魔者扱いする。 あんたさえいなければ あんたなんか生まれてくるな 嫌い 気持ち悪い 死んでしまえ そんな言葉ばかりで、絵本を読んでくれたことも綺麗な服を買ってくれたこともご飯を作ってくれたことも優しく撫でてくれたことも私の話を聞いてくれることもなかった。 幸せなんて、なかった。 貰えるのは罵声と暴力、それに体の傷だけだった。 私はその時悟った。私は生まれてはいけなかったのだと。 だから私は母からの罵声を浴びた後、自分を罰していた。 工作用のカッターで左手首を切って、手首を引っ掻いた。 血が沢山でた。 死ぬのも怖い。生きるのも怖い。 かと言って自殺する勇気も、逃げ場も、癒しもない。もう消えたい。楽になってしまいたい。 毎日そう思っていた。 ある日、父は愛想を尽かして離婚届を記入して帰らなくなった。 母は悲しみ怒り、狂ったように私に包丁を向けた。 涙を流して血走った目で私を見ながら 「あんたなんか、死んじまえ!!死んじまえええぇぇええええ!!」 包丁をブンブン振り回してこちらに近づいてきた。 殺される。でも、もういいや。 いっそ、死んでしまおう。 「お母さんがほんとに私が嫌いなら、殺していいよ!!」 得体の知れない恐怖に怯えながら母に向かってそう叫んだ。 その瞬間、母の動きが止まった。 目は正気に戻って、母は膝から崩れ落ちた。 泣きながら、母が何かを呟いた。 「ちがう、、、ちがうの、、、私はあなたが大好きなの、、、でも、、、私に、あなたを愛する資格なんて、ないわよね。ごめんね、雛菊。ばかなお母さんで、ごめんね。大好きよ。」 大粒の真珠が目から落ちてるみたいで綺麗だった事をよく覚えてる。 母はニコリと微笑むと、自身の胸に包丁を刺した。 その瞬間が、私の見にこびりついて離れなかった。 血の匂い、溢れ出す内蔵、母が倒れる音。 全て鮮明に覚えている。
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