第二章 人は海から生まれ

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 安東の凄さは、この執拗で臆病な捜査方法で、気付かれずに奥まで侵入してくる。既に安東は、俺がどうして公安に保護されているのか、気付いている。 「そうね、市販品にしようとしているTOBOSは飲み薬か塗薬レベルだ」  世羅が俺に託した万能薬は、もう一つあり、それは人体プログラムであった。人体に正しい電気信号を与える事により、病気を治し、怪我を無かった事にする。 「俺が持っている万能薬は、人間を組み換える……それは、悪魔の所業なのか、天使の助けなのかもわかっていない」  これ以上詳しく言うと、ここのセキュリティーでは危険になる。それは、安東も分かっているようで、追及してこなかった。 「奥村、データは繋がっていないのではないよ。切られているだけだ」 「……、ああ、そういう事ですか」  追えなくされているということは、そこに関連があると思っていい。奥村は何か気付いたようで、再び無言になっていた。
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