第二章 人は海から生まれ

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 翌日、皆が共有で使用していた冷蔵庫に、ケーキの箱が置いてあった。誰が買ったのか聞こうとして中を見た、そこには、目玉が二個と、チップがあった。 「見るな、言うな、書くな……」  耳はどうしたのだろう。 「十津川は、耳に特徴があったわけか?」 「そうです。十津川は事故で耳に大怪我をしていて、一部が人工でした」  第二公安部は、これで出勤できなくなる女性が多数発生し、業務が稼働できなくなった。 「これは、十津川ではないよ。DNA鑑定で結果がでているでしょう?」 「……十津川と判断されました」  俺は自分の端末を出すと、勝手にDNAデータを確認した。だが、事前に採取されていた十津川のデータが、何かおかしい。そこで、地下社会に接続し、採取されたデータを照合してみた。 「このパーツの持ち主は、十津川ではない。パーツのDNAは、地下社会に臓器を依頼していた政治家の孫で、海外に留学している。名前も言っていいが、情報で見ろ。ここ盗聴されていそうだ」  臓器引き渡し時に、DNAを確認しているので、間違いはないだろう。
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