271人が本棚に入れています
本棚に追加
/378ページ
西園寺のバイクに乗ると、椿生に電話をかけた。
椿生は、俺が裏社会に潜入捜査していた時の相棒で、結果、俺は捜査官であったので裏切った形になった。今でも、椿生は俺を恨んでいるが、それはむしろ、分かり易くて扱いやすい。
西園寺は、巧みに車の間をすり抜けて、裏社会へと向かっていた。
「椿生、裏社会に人質を奪いに行く」
『……ああ?裏社会で銃撃戦でもしてみろよ。夏目、そん時にゃ、俺は喜んで夏目を撃ち殺しておくぜ』
椿生は、女性的な綺麗な見た目に反して、喧嘩が好きで、危険を楽しむ傾向があった。裏社会で喧嘩があると聞けば、既に行く気になっているだろう。
「裏社会に、通常社会の犯罪を無断で持ち込むのはルール違反だろ?こいつらは、許可を取っていない。元締めに、引き渡していいよ」
ルール違反者ならば、裏社会は保護しない。それに、椿生が喧嘩をしてもいい理由になる。
『面倒臭え』
椿生が電話を切ったので、これは一旦家に帰ろうとしているだろう。椿生は、かなりのバイク好きで、戦闘用のバイクと、日常用のバイクを乗り分けているのだ。
最初のコメントを投稿しよう!