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「西園寺、そこの交差点で俺を降ろして」
「分かりました」
俺は、西園寺のバイクを飛び降りると、そのまま走り椿生のマンションへと向かった。でも、走りながら、千手に電話を掛けておく。
千手は俺の幼馴染で、地下社会の五大勢力のうちの一つに数えられていた。
「千手、境界線で少しやりあう予定」
『フォローするよ』
しかし、千手は今日の俺の服装を聞いてきた。
「たいした服は着ていないよ……迷彩のジャンパーにツナギを着ていて、それも迷彩」
防弾キョッキが厚くて、大きめの服しか入らなかったので、あったものに着替えたのだ。
『夏目、着替えを持ってゆくよ!!!』
俺も三歳になったので、着ぐるみは止めろと言っておくと、千手は少し黙ってから、笑っていた。
『分かったよ』
千手は来なくてもいいのだが、それは了承しなかった。
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