第二章 人は海から生まれ

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 俺は、椿生の家のシャッターを自動で操作すると、中へと走り込んだ。椿生の家は、道路からバイクに乗ったまま入れるようになっていて、シャッターの向こうはスロープのようになっている。俺が走り降りてゆくと、奥に電気がついていた。  椿生は、地下と一階を使用していて、ガレージは地下部分にある。俺が電気の付いたガレージに走り込んでゆくと、既に、椿生の恋人で殺し屋の君塚が来ていた。 「君塚?」 「椿生さんが楽しそうだと思ったら、やっぱり夏目さんでしたか」  椿生が楽しそうだとすれば、それは俺ではなく、喧嘩があるからだろう。 「椿生は?」 「もう少しで来る筈ですよ。それよりも、今、行こうとしている場所は、新しく出来た吉原なのですよ」
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