第三章 波音は心音に似ている

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 そして、今度は椿生のバイクが出てくると、壁を壊されている事を確認した。 「俺の家に、銃を撃ち込んだのは、お前等か?」  周囲の温度が下がったように感じるのは、椿生の怒りであろう。椿生はバイクをふかすと、急発進した。  椿生がバイクのまま黒塗の車の上に乗ると、振り払うかのように車が走り出した。  椿生は、バイクに乗ったまま車から降りると、追跡する前に俺を掴んで後ろに乗せた。 「夏目、あいつらは何だ?」  車にはナンバーがついていて、調べると盗難車であった。機関銃を使っていたが、俺にも君塚にも、椿生にも当てる事をしなかった。だが、使い方には慣れていたので、脅しだけのつもりだったのだろう。 「銃の売買を調べたら、あれは最近、鈴宮のところが購入していた」  だが、鈴宮が俺達を脅す理由が分からない。
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