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「夏目、あの車を止めろ」
椿生が走り出すと、正面に車が見えてきていた。俺はタイヤを狙って撃ってみたが、かなり堅い素材でできているようで、パンクにすらならなかった。そこで、音波銃を出すと、道路に撃ち込み、揺れでハンドル操作を不能にすると壁に突っ込ませておいた。
車からは、三人が飛び出てきたが、それはあっさりと君塚が捕まえていた。
「君塚、凄いね」
「でも、どこの者なのか、一言もしゃべらないのですよ……」
君塚は、笑顔でしゃがむと、一人の指を折っていた。
「指は十本ありますね……」
ボキリ、ボキリという嫌な音がして、歯を食いしばっていた男から、悲鳴が上がる。君塚は、次の指を持つと、もう一度、折ろうとしていた。
「……何で、俺達を狙ったのかな?」
君塚は笑顔のままで、次々と指を折ってゆく。周囲に悲鳴が響いているが、椿生は時計を見ただけであった。
「鈴宮は、裏社会で通常社会の人間を殺しているからな……警戒しているのでしょう」
「コレ、どうしましょう」
椿生は三人を見ると、舌打ちしていた。
「持ち主のいないゴミだろう?」
「わかりました」
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