第三章 波音は心音に似ている

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 君塚が三人を燃やそうとしたので、やっと一人が叫び始めた。 「依頼された!嘉藤 良哉を追う者を始末しろと言われている」  良哉とは、嘉藤の孫の事らしい。 「……指も、舌も……TOBOSがあれば、どうにかなるでしょう?どうして、良哉を殺してしまったの?」  地下社会にはTOBOSがあり、寿命を縮めてしまうが、怪我や病気は完全に治す事ができる。 「良哉は…………ショック死した。不摂生で内臓が弱まっていたし、心臓のスペアがなかった……」  良哉を殺すつもりはなかったが、少し拷問しただけで、ショック死したらしい。だが、良哉の死は、まだ嘉藤に知られていなかった。 「良哉は、留学していたが、時折、日本に帰ってきては吉原に入り浸っていた。良哉は可愛い男が大好きで、常に三人ははべらせて、豪遊していた」  この男達は、十津川の事には無関係らしい。だが、ややこしい事になっているのは分かった。 「椿生、先に行こう」 「そうだな、君塚、そいつらを頼む。後で、三家本さんに連絡しておく。鈴宮と交渉して、家の壁を治してもらう」
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