第三章 波音は心音に似ている

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 椿生が、裏通りにバイクを止めると、俺を抱えて表通りに出た。  俺と椿生が安東の姿を探していると、あちこちから声がかかっていた。 「店から出てもいいの?幾らなの?相手をしてよ」 「どの店なの?」  椿生は舌打ちをしながら歩き、安東を見つけた。 「場違いが、場違いのまま来ているのか?バカだろ、こいつら……」 「安東、少し、ややこしい事になっている」  安東は、防弾チョッキを着こんでいるが、いつものスーツであった。でも、雰囲気が会社員には見えず、あきらかに公務員でしかも捜査官だ。 「十津川は、この店にいます」  店は五階建ててで、窓にはピンクのカーテンがあった。 「十津川が無事に戻れば、先に送っていたパーツは誰のものかが問題になる」 「それは、第二公安部が改竄に気付き、嘉藤議員に報告されました」  それは、既に最悪のパターンになっているということだ。 「急ぐぞ」
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