第三章 波音は心音に似ている

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 銃弾は、壁を直撃していて、ボロボロと破片が飛んでいた。様子を見に来た店員は、銃撃戦を知らせようとして、流れ弾に当たっていた。弾というのは、弾けて予想外の場所に行くので、案外厄介なのだ。 「即死だな……」  弾が頭に当たっているので、TOBOSを降り掛けても、再生は難しい。  銃弾が止む事がなく、中の様子が分からない。壁越しにセンサーで確認してみると、三人が銃を構えていた。椿生は、センサーの情報を見ると、口元だけで笑っていた。 「椿生、殺すなよ……」 「どうしようかね……」  これは、椿生よりも先に乗り込まなくては、皆殺しにされてしまいそうだ。  俺は、銃撃戦の合間に室内に滑り込むと、音波銃に付けてもらった電撃で、相手を麻痺させた。 「夏目室長!」  安東が入って来ようとしたが、椿生に蹴り飛ばされて廊下に出ていった。椿生は、悠々と室内に入り込むと、奥のカーテンを開けた。
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