第三章 波音は心音に似ている

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 すると、ベッドの上には人影がなく、そこには時限式の爆弾があった。 「ああ?ちんたらしていたから、逃げられたか」  外には人が行き来していて、下には満席の客がいた。こんな所で爆発したら、裏社会の人間どころか、通常社会の人間も多数死んでしまうだろう。 「これは、どこの爆弾だろ?」  俺が爆弾の仕組みを観察していると、横から手が伸びてきた。 「触れないでください。爆発します」  横に来たのは西海で、タイマーの部分を観察していた。 「これは、輸入品です。海外のテロで使用されているものですよ」  そういえば、西海が公安に来ていた事を忘れていた。 「夏目さんの護衛に来て居るのに、置いてゆかれましたよ……」  西海は、固定して動かないようにすると、タイマーと爆弾を分け、少し俺を見た。 「止められませんね?」  西海は、爆弾の仕組みを知っていたらしいが、首を振っていた。 「時限式の部分は外しましたけど、これ、動かすと爆発します。それは、止められません」
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