第三章 波音は心音に似ている

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 俺は、椿生が蹴って壊した壁によると、外の様子を伺った。 「椿生、俺がフォローする。飛び降りろ」 「命令するな、ボケ!」  椿生は命令されるのが嫌いだが、俺が両手に音波銃を構えると、笑いながら飛び降りていた。 「一発でも掠ったら、夏目、タダじゃあ済まさないよ」 「……そんなに腕は落ちていないよ」  俺は、音波銃で全ての銃を弾き飛ばすと、狙撃で狙っている連中には煙幕を張っておいた。更に、左手の銃を音波銃から、普通の銃に持ち換えると、椿生の着地を狙っていた連中を威嚇しておいた。それを、椿生が飛び降りてから着地までの間に済ませると、今度は銃で新たな敵を威嚇しておいた。 「夏目、ストップだ。俺の遊び相手が減る!」 「了解!」  椿生は道路に出ると、待ち構えて襲ってきた奴らを、片っ端から蹴り飛ばしていた。 「……手のナイフは何の意味があったの?」
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