第三章 波音は心音に似ている

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 椿生は蹴りに飽きると、相手を殴り飛ばしていて、銃で狙われると、敵の隙間に逃げ込んでいた。まるで遊んでいるようで、椿生は終始大声で笑っていた。 「あはははは、弱い!もっと来い!もっと本気で、殺しに来いよ!」  椿生は細いのだが、その見た目に騙されると痛い目にあう。椿生は、素手の喧嘩が滅茶苦茶に強いのだ。椿生から離れて銃を使おうとしている者もいたので、俺は上から手を撃ち抜いておいた。 「見事な腕ですよね……殺さずに動けなくしている」  そうでもない。銃の場合は反動が大きく、手が痺れてきてしまった。後、数発も撃ったら、安定できなくなりそうだ。 「あ、西海、いいところに来た。俺も飛び降りるから、少しだけフォローしていて」  俺も飛び降りようと下を確認していると、西海が俺を抱えて飛び降りていた。 「西海、俺達の情報が流れている」 「派手に動くからですよ」
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