第三章 波音は心音に似ている

16/17
271人が本棚に入れています
本棚に追加
/378ページ
「ここの情報もダミーではないよ。ただ、相手にリークされていたという事だけだ」  これに、樹来々が関わっている気がしていた。だから、俺は衛星の情報を確認したと言ったが、実はそれだけではないのだ。 「地下社会の臓器には、ナンバーが振ってあって、その居場所が分かるのさ。その方法は言えないけどね」 「十津川は、何か移植していますか?」  これは機密事項で、西海に言っていいものか迷う。移植を行えば、あれこれ地下社会に筒抜けになると分かったら、十津川の公安での勤務は難しくなる。 「十津川は、前の潜入捜査で拷問を受け、大腸と直腸を壊死させてしまったのさ。だから、移植している」  完全に移植させるために、自分の臓器を培養したのだ。 「十津川は、公安を憎んでいましたか?」
/378ページ

最初のコメントを投稿しよう!