あの子がよかったんだよ

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「ねえねえ、イロ。聞いてよっ!!」  待ち合わせ場所に走ってきた結斗の開口一番の言葉。  喜色満面を窺わせる結斗の様子に、彩白の瞳が瞬いた。 「……どうしたの?」  彩白が呆気に取られて問い掛ければ、結斗は興奮気味に満面の笑みを浮かせて口を開き――。 「あのねっ! オヒョウさんが来てたんだっ!!」 「えっ、戻ってきてくれたのね!」  思わぬ嬉しい報告に、彩白の表情も喜色を表して綻んだ。  今日の結斗が遅刻をした原因は、姿を現したオヒョウさんを構っていたからだろう。  何はともあれ、オヒョウさんが戻ってきて嬉しい様を全身で言い表す結斗を見て、彩白まで嬉しくなってしまう。 「それでね。しかも――」  結斗は嬉々として言いながら、忙しなくスマートフォンの画面を触り出す。そして、勢いよく彩白の目の前に突きつけた。
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