26人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「ねえねえ、イロ。聞いてよっ!!」
待ち合わせ場所に走ってきた結斗の開口一番の言葉。
喜色満面を窺わせる結斗の様子に、彩白の瞳が瞬いた。
「……どうしたの?」
彩白が呆気に取られて問い掛ければ、結斗は興奮気味に満面の笑みを浮かせて口を開き――。
「あのねっ! オヒョウさんが来てたんだっ!!」
「えっ、戻ってきてくれたのね!」
思わぬ嬉しい報告に、彩白の表情も喜色を表して綻んだ。
今日の結斗が遅刻をした原因は、姿を現したオヒョウさんを構っていたからだろう。
何はともあれ、オヒョウさんが戻ってきて嬉しい様を全身で言い表す結斗を見て、彩白まで嬉しくなってしまう。
「それでね。しかも――」
結斗は嬉々として言いながら、忙しなくスマートフォンの画面を触り出す。そして、勢いよく彩白の目の前に突きつけた。
最初のコメントを投稿しよう!