あの子がいなくなっちゃった

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あの子がいなくなっちゃった

「あの子がいなくなっちゃったんだ」  青海結斗(おうみゆいと)が後輩である年下の彼女と顔を合わせた早々に、何の脈絡もなく開口一番に放った言葉。  内心で「えっと、先輩。あの子ってだれ?」と疑問符を浮かせながら、桜庭彩白(さくらばいろは)の黒目がちな瞳が瞬いて首が傾ぐ。  ――『ごめん。少し遅くなっちゃう!』  SMSアプリで届いたメッセージ。  休日に出掛ける約束をした際、結斗が遅れることは無い。  寧ろ、約束の十分前到着は厳守する。  そんな結斗の遅刻が珍しいと、彩白は思っていたのだが。  もしかしたら、誰かを探していて遅刻したのかと頭を過った。
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