らくらく安全システム

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ひと通りの説明を聞き、美智と二宮は吉倉ハウスを後にした。 「どう思う?」 ハンドルを握った二宮が訊く。 「モチズリ不動産が自慢するだけあって、〝らくらく安全システム〟はウチで使っている市販のシステム以上だと思いました。ウチの高齢者用マンションは、入居者が生きているかどうかなんて判別しませんから。……さっきの仕組みなら、悪意のある人がバルコニーから出入りでもしない限り、入居者が建物の何処にいるのか、無事なのかがモチズリ不動産に届いていると思います」 「老人がバルコニーから出入りするのは難しいだろうし、そうする理由もないか……」 「はい。あとは届いたデータをどう利用するのか。それはオペレーションの問題です」 「シェアハウスにはコンビニやスーパーが一緒に設置されているだろう。そこにデータの監視を頼んだらどうだろう?」 「何かあった時、コンビニ側も店を空けるわけにはいかないと言うのではないでしょうか? 何らかの手数料も要求してくると思います」 「手数料なら、対応してもらった時だけという条件にすれば抑えることが出来るよ」
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