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「二十四時間営業ではないスーパーの所はどうします? それに個人情報の管理の問題もあります。コンビニの店員はアルバイトで出入りが多いでしょうから、入居者は個人情報の流出を案じるのではないでしょうか?」
「そうか……。何か、手はある?」
「データをスマホに送るようにしてはどうでしょう? 必要最低限の管理は、スマホから出来るようにしてもらうんです。居室の鍵も、遠隔操作できるようにしましょう」
「言うのは簡単だけど、そのスマホを持たされた人間はおちおち風呂にも入れないよ。あの店長がやってくれるとは思えないな」
二宮は首を傾げた。
「それは私たちがやるんです」
「僕たちが?」
「そのために作られた資産管理係です」
「なぁんだ。採用前には教えられなかったけど、そういうこと?」
「たぶん」
「たぶんって……」二宮が苦笑する。「前にいた会社の上司は、社長からいつ連絡があっても出られるように、風呂にも携帯をもってはいると言って部下の顰蹙を買っていた。自分は社長と近い存在だ。それにお前たちも俺の連絡は風呂の中でも受けられるようにしておけ、ということだからね。正直、僕は、スマホに24時間、縛られたくはないな」
「あの店長と同じですか?」
美智は、モチズリ不動産の店長のことを言った。
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