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──八月十日/某県R山にて
大粒の強い雨が霧を伴って山に降り注ぐなか、雨の轟音に紛れて一人の女性の名前を呼ぶ声がかすかに聞こえる。
何十人ものカッパを身に付けた捜索隊が一人の女性を探していた。
すると、大木の下に生い茂る草むらに向かって一匹の捜索犬が吠え続ける。
捜索隊の一人が犬のもとへ駆け寄ると、犬の視線の先にある草むらを急いでかき分けた。
「おーい! こっちだー! みつけたぞー!」
「舞永さん! なにか見つけたそうです!」
“舞永”と呼ばれた男性は、名前を呼ばれて振り返ると顔を曇らせた。
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