第一夜「遭難」

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「一人で夜の森は危険です! やめてください!」 「じゃーあんたらもくるか? こっちは急いでるんだ! ちんたら待ってる時間はねーんだよ!」 「──ちょっとまって」  強面の男性と運転手が言い争うなか、穂波が大きな声を発して二人の口論を制止させた。 「あ?」  強面の男性はムッとした顔つきで穂波を睨みつける。 「あなた……『地図だとここから降りれば近くに町がある』って言ったよね?」  穂波は自分のケータイ電話をバッグから取り出した。 「地図のアプリってじつは圏外でも使えるのよ。……で、あんたの言ってた通り、町も確かに近くにあったわ」 「ほらな? 言ったろ」 「でも……
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