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「……あ」
――これ、お姉様に差し上げます。お姉様が喜んでくださると思って、いつかお渡ししようと思って、ずっと持ち歩いておりましたの
はにかむように微笑むクララの姿が、鮮明に思い出された。
目から、大粒の涙が流れた。堪えていた熱が次から次に溢れ、頬を濡らし、地面にこぼれていく。
人前であることなど気にする余裕もない。
クララは罪を犯した、許すことはできない。だが、ヴァルトルートを姉と慕い、微笑みかけてくれたのも事実なのだ。
「脈が弱くなっております! 血も一向に止まりません!」
クララの顔色は、白を通り越して透明にさえなりそうだった。
「……クララ」
ヴァルトルートは、ふらりと歩みを寄せる。
血でドレスが汚れるのもお構いなしに、クララに寄り添うように血だまりに座り込む。
「駄目……駄目なんだ」
両手を伸ばして、クララの身体を抱きしめた。
「死ぬな。……死ぬな、クララ! 誰か、クララを。……頼むから! 頼むからっ」
ぎりっ、と歯を食いしばった。
そして、力の限り叫ぶ。
「クララを、助けてくれ!!」
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