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「くうん・・・」
リューは土木業者のワゴン車の中で、重機で飼い主の家から台風で転倒した柱を引き揚げる作業をしている土木作業員を心配そうに見詰めた。
ようやく、事の事態にこの県の知事が気付いて要請した自衛隊達が、この家々から救助された住民の救護に当たっていた。
「美憂!!開人!!パパ!!ママ!!良かった!!無事だった!!」
リューは、ワゴン車のガラス窓越しに顔を突きだして余りの嬉しさに尻尾を振ってワン!ワン!と吠えた。
・・・・・・
・・・・・・
「リュー!リュー!ありがとう!!リュー!!
呼んだんだね!!あの助けてくれた人達を!!」
無事に助かった美憂と開人は、大粒の涙を流してリューを抱き締めた。
「開人、美憂。避難所に行くぞ。」
非常用リュックを背負ったパパは、開人と美憂に呼び掛けた。
「開人。美憂。今から行く避難所の公民館は、ペット可だ。リューの活躍が自治体を動かしたんだ。」
「リュー、良かったね。これもリューのお陰よ。
何時でも一緒よ!!リュー!!あんたは大切な家族よ!!」
「ばうっ!!」
ママの持っているリードに繋がれて、家族と一緒に避難所へ向かうリュー。
激しい台風に煽られて壊れた街。
何時かまた、元の日々が戻る事を願いながら。
~手紙を走れ!~
~fin~
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