被服室には…

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被服室には…

「確か、ここに…」  大鏡の前から駆け出した美奈は、ある噂を思い出して三階にある被服室へとやって来た。  被服室の噂。  被服室には、卒業生から贈られた二枚の姿見があった。 その鏡は片方の鏡を鏡写しにした形をしていて、子供達は双子鏡と呼んでいた。  ある日、被服室を掃除していた少年が誤って片方の鏡を割ってしまい、怒られることを怖れた少年は慌てて帰ってしまった。  しかし翌日、少年が朝早くに確認に行くと鏡は元に戻っていたのだ。 内心不思議に思った少年だったが、先生か用務員が直したのだろうと考え、それ以上考えるのを止めた。 けれどその放課後、再び少年が被服室の掃除へ行くと突然、姿見がスーと動き、少年は鏡と鏡に挟まれ姿を消したのだった。 「…たぶん、鏡の中に吸い込まれたんだろうってあの子は言ってた。だったら、鏡に吸い込まれた莉奈を助けるには…」 スー 「え…、あ!」  被服室へ入り、噂の姿見を探していた美奈。  その時、背後で何かが動く音がして振り返った美奈の目に映ったのは自分の姿で、(マズイ)と思った瞬間、美奈は姿見に挟み込まれていた。  気付けば、美奈は真っ暗な空間に佇んでいて、そっと辺りを見回した。 「ここは…」 「久し振りに人間を捕まえたぜ」 「貴方は…」 「お前ら人間は俺を‘合わせ鏡の悪魔’って読んでるじゃねえか」 「悪魔?見た目は小学生の男の子みたいだけど…」 「こいつは俺の一番目の獲物だ。身体を貰ったのさ。普通、人間は俺の姿は見えないからな」  突然現れた少年に美奈は驚く素振りも見せず、淡々と話を聞いた。  噂の原因も理由も理解した美奈は、大鏡の事も訊ねた。 すると、悪魔だと名乗った少年は笑いながら莉奈のことを話し始め、美奈へと飛び掛かって来た。 「そういや、さっきあっちも娘が掛かってたな。オッサン、楽しそうだったけ」 「それって…」 ヒュッ 「お姉さん、俺もオッサンと同じことしたいから付き合ってよ」 「なっ!?」  飛び掛かって来た少年は、言いながら美奈を押し倒し、衣服を破りながら脱がし始めた。  段々と肌が露出し始めたことに危険を感じた美奈は抵抗したが、露になった胸を強く掴まれ、痛みによって抵抗の手が緩んだ。  美奈の抵抗が無くなったことに口角を上げた少年は、自らも服を脱ぎ、美奈の下半身へ移動すると、少年の物とは思えない太く硬いモノを勢い良くナカヘと突き刺した。 ヌプ 「くっ、ああぁ…」 グッ グッ 「おお!何か気持ち良いな」  自らのナカを押し広げられる感覚に美奈は呻いたが、少年は聞く素振りも見せず、激しく腰を動かす。  何度もモノを出し挿れされながらも、意識が飛びそうになるのを堪えていた美奈。  しかし次の瞬間、少年が美奈の片方の胸の突起を摘まみ、もう片方の突起に吸い付いた為、呆気なく果ててしまった。  美奈の意識が飛んだことに気付いた少年は面白がり、更に責め続けた。  ナカヘは何度も体液を吐き出され、胸の突起には歯を立てられ、しまいには、お尻の穴にも指を挿し込まれ続けた美奈は、自分のことも奈々や莉奈のことも薄れ始めていた。 (…私は…、なん、でこんな所に…?どうして、こんなこと…) 「「美奈(ちゃん)!!」」 「………………だれ…?」 「しっかりして!!」 「美奈ちゃん、大丈夫…?」 「………奈々…、莉奈…って、あれ…?」 「良かった~…」 「私たちのこと分かるんだね…」 「ええ…。それより、二人ともどうやって…」 「私は、気付いたらプールに浮いててさ…。プールのドアも開いてたから急いで二人を探してたら…」 「大鏡の前で倒れてたのを奈々ちゃんに見つけて貰って…」 「そう…」  言いながら身体を起こした美奈は辺りを見回すと、自らは姿見と姿見の間に倒れていて、噂を思い出して慌てて二人と一緒にその場から離れた。  三人とも、はぐれた後の記憶は曖昧で、自分達の身に何が起こっていたのかは覚えていなかった。 「ねえ美奈、ここの噂ってどんなの?」 「…昔、一人の男の子があの合わせ鏡に吸い込まれたって噂よ」 「ええ!?み、美奈ちゃん、大丈夫だったの…?」 「二人に会えたんだから、大丈夫だと思うわ」 「何か見た?」 「何も…」 「そっか…。せっかく、噂を調べに来たのにな」 「美奈ちゃん、噂ってこれで全部…?」 「私が聞いたのはね」 「え、じゃあもう終わりじゃない!!」 「奈々ちゃん…」  悔しがる奈々とそれを宥める莉奈。  いつもと変わらない二人の様子を見ていた美奈は、安心したように小さく微笑んだ。 「さ、帰りましょう?」 「う~…。そう言えば、美奈は誰からこの学校の噂を聞いたの?」 「…昔の友達よ」 「その子とは、今も会ってるの…?」 「…今は、会えないわ…」 「「え…」」 「少し前に会ったのが最後だった…。その時にここの噂を聞いたのよ」 「その子は何で…?」 「さあ。行方不明みたいで、その子の母親から行方を聞かれたの…」 「行方不明…?」 「ええ。出掛けたまま戻らなかったそうよ…」 「!…もしかして美奈、その子を探しにここへ?」 「………半分は、ね」 「なら、最初に言ってよ!!」 「?」 「私たちもちゃんと、探したのに…」 「奈々ちゃん…」 「奈々…。気にしなくて良いのよ。噂が本当か、確かめてみたかったのも事実だから」 「美奈…」 「ねえ美奈ちゃん…」 「何?」 「その子、名前は何て言うの…?」 「葉奈[はな]よ」 「葉奈ちゃん…」 「っ葉奈ちゃーん、いますかー?」 「奈々?」 「もう少し探してみようよ!葉奈ちゃんもここの噂知ってたってことは、確かめに来たかもしれないんでしょ?だから、美奈もここに来たんでしょ?」 「…奈々。ありがとう…」  こうして三人はもう一度、廃校を調べ始めた。  そんな三人を見つめる娘の姿には気付かずに…。 「…早く、しないと…」 終わり
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