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最後の噂…
「どこにもいないね…」
「噂があった所は全部調べたし、あれだけ名前を呼んでも反応無いし、本当にここにいるのかな…?」
「もしかしたらと思ったんだけど…」
あの後、もう一度噂があった教室やそれ以外の教室も調べて歩いた三人。
けれど、どこにも人の気配は無く、それどころか不思議な現象も起こらなかったのだ。
「そう言えば、今見てきた時は何も起こらなかったね」
「うん…」
「まあ、今回はその場で起きたことも気にしながら調べてたから、異変が起こらなかったのかも」
「そっか~…。あ、そう言えば、この学校の噂って結局いくつあったのかな?」
「美奈ちゃんが聞いた数は…」
「六個。全て葉菜が教えてくれて…」
「六個か…。それじゃあ、あと一つあるかもね」
「「え?」」
「だって、学校の噂と言えば七不思議でしょ?」
奈々の言葉に美奈と莉奈は顔を見合わせた。
「七不思議…」
「学校によっては八個や十個の所もあるみたいだけどね」
「でも、葉菜が教えてくれたのは…」
「全部知ると呪われるとか死んじゃうって言われてるみたいだし、普通は最後まで知らないみたい」
「え、死んじゃうって…」
「噂だって」
言いながらあちこちをキョロキョロ見回す奈々だったが、ふとあることを思いつき、二人に提案した。
「そうだ!ねえ、この学校って屋上あるよね?」
「確か…」
「奈々ちゃん?」
「屋上に行ってみよう!!」
「ええっ!?」
「どうして?」
「もし、葉菜ちゃんが噂を確かめに来てて、さっきみたいにあちこちの窓やドアが閉まってたらどうすると思う?」
「出口を探す…。けど、どこも閉じられてたら…」
「それでも空いてる所を探して…」
「一応、探すだけ探してみよう!」
思い至った三人は、とにかく階段を駆け昇り、屋上への入り口までやって来た。
扉には【立入禁止】と書かれていたが、奈々は迷うこと無く扉に手を掛けた。
閉まっていると思われた扉は簡単に開き、戸惑いながらも三人は屋上へと足を踏み出した。
「奈々の読み通りなのかしら…?」
「鍵が開いてたってことは、私たちの前にも誰か来てたのかも…」
「だ、誰かって、葉菜ちゃん…?」
話しながら辺りを見回していた三人だったが、奈々が懐中電灯を向けた先に人影を見た美奈がそこを指差した。
「奈々、あそこに誰か…」
「え?」
「誰…?」
スッ
「葉菜!!」
「あれが…、葉菜ちゃん?」
「本当に居たんだ…」
「葉菜、やっぱりここに…」
「逃げて!!」
「「「え…」」」
美奈が駆け寄ろうと足を動かしたその時、葉菜が力強く叫んだ為、その言葉に三人は動きを止めた。
瞬間、辺りに白いもやが立ち込めて来て、奈々達が驚いていると、そのもやの中から複数の人影が現れた。
奈々は正体を確かめようと人影に光を当てたが、影が濃くなっただけで判別は不可能だった。
「何よ、これ…」
「何人、いるの…」
「とにかく、逃げなきゃ!葉菜もこっちへ…え?」
美奈は二人に声を掛け、一緒に逃げる為に葉菜へも声を掛けた。
しかし美奈が葉菜へ視線を向けると、そこでは人影が葉菜を取り囲み、自らの下半身に葉菜の顔を押し付けていたのだ。
葉菜は抵抗していたものの、気付けば、人影の下半身から伸びている黒いもやが口内に入り込んでいた。
始めは呆然と見つめていた美奈だったが、葉菜の嗚咽を聞いて、慌てて駆け出した。
「葉菜!!」
「あぐっ…美奈、ひゃん…」
「「キャアアア!?」」
「奈々、莉奈!?あっ…」
グイッ
人影を掻き分けて葉菜の元へ向かった美奈だったが、後ろから奈々と莉奈の悲鳴が聞こえ、思わず足を止めた。
不味いと感じた時にはすでに遅く、美奈も人影に腕を掴まれ、そのまま押し倒されてしまった。
気付けば四人とも人影に掴まってしまい、それぞれに人影の好きなように弄ばれていた。
衣服をはだけさせられたり、下着を脱がされたり、胸を揉まれたり、下半身に顔を埋められたり…。
四方八方から伸びてくる人影の手に四人はなす統べなく弄ばれ、気が付けば全員、身に着けていたものが無くなっていた。
ようやく人影からの攻めが止み、不思議に思いながらもなんとか意識を保ち、四人は一ヶ所に集まった。
「はあ…、はあ…、みんな、大丈夫…?」
「なん、とか…ね」
「どうして、こんな、こと…」
「美奈、ちゃん…。どうして、ここに…」
「葉菜…。あなたを探しに来たのよ?」
「私たちもね!」
「私を…?」
「うん…」
「どうして、葉菜はここに…?」
「噂を、確かめに…。だけど…」
言い掛けた葉菜は自らの身体を抱き締め、唇を噛んだ。
その様子を見守っていた美奈達は互いに目配せをすると、急いでこの場を離れようと葉菜を立ち上がらせた。
「話は後にしましょう」
「あの人達が離れている内に…」
「ここを出なきゃね!」
「………うん…」
四人はゆっくりと後退り、入って来た入り口へと近付いて行った。
「今よ!」
「うん!」
ガチャ
「あれ?」
「どうしたの…?」
「開かない…」
「「ええ!?」」
「やっぱり…」
葉菜の呟きに三人が一斉に彼女へ視線を向けると、人影も四人の方へ身体を向けて見つめていた。
その事に気付いた奈々は必死に戸を開けようと試みたが、戸はびくともしなかった。
人影は、ゆっくりとした動きではあったが四人との距離を縮めており、更に数も増えていた。
戸は開く気配は無く、気付けば四人は人影に囲まれており、その内の一人が莉奈へ手を伸ばしたのを合図に、人影は一斉に四人へ飛び掛かったのだ。
「いやぁぁぁっっ!?」
「止めて!あっ、何でそんな所!?」
「くぅっ、離して…」
「あぁっ…、嫌ぁ…」
相手は影である筈なのに触れられた所には感覚があり、動きすらもはっきりと分かることが四人を更なる恐怖へと突き落とした。
入れ代わり立ち代わり、人影は四人を攻め立て続け、しまいには、彼女達のナカまでも攻め立てていった。
グチュグチュグチュ
「あぅっ…、ナカに、入って…」
ヌチュヌチュ
「なん、で…、こんな…」
ドクッ
「やぁっ…、お腹、熱い…」
グッ
「やめっ…、そこは、お尻だから…」
大事な部分だけでなく、穴という穴へ硬くなったモノであろう何かを挿し込まれ、四人は段々と意識を手離していった。
四人が目を覚ましたのは日が昇り始めた頃で、始めに目を覚ましたのは美奈だった。
昨夜何が起こったのか記憶が曖昧だったが、ふと視線を移した先で眠っている奈々、莉奈そして葉菜の三人の姿にほっと胸を撫で下ろした。
「みんな、起きて」
「ん~…、おはよう、美奈」
「あれ…?どうして私たち、ここで寝て…」
「美奈ちゃん、おはよう…。そして、ありがとう…」
目を覚ました奈々と莉奈には、昨夜の記憶がほとんど無かった。
しかし、葉菜は居なくなった頃からの記憶が残っていて、涙を零しながら美奈へ礼を告げた。
その後、四人は廃校を出ると、奈々と莉奈はそれぞれに家へと帰って行き、美奈は葉菜を自宅まで送っていた。
「葉菜が見つかって、本当に良かった…」
「ありがとう、美奈ちゃん…。でも、ごめんね…」
「気にしなくていいわ。どっちかと言うと、私が奈々と莉奈に謝らなくちゃ…」
「そうじゃなくて…」
「え?」
「…あの廃校の噂、本当は全部知っちゃいけないの…」
「奈々も言ってたわね。でも、全部知った訳じゃないし、もう終わったこと…」
「駄目なの…」
「…なにが?」
「噂は屋上ので全部なの」
「だから…」
「全部知るとね…」
葉菜の言葉に、美奈は目を見開いて固まった。
そんな美奈に、葉菜は本当に申し訳無さそうな表情を浮かべていたが、すぐに背を向けると「本当に、ごめんね…」と言って、家の中へと消えてしまったのだった。
『全部知るとね…、数日後にまたあの廃校に呼び戻されちゃうんだ…』
終わり
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