手紙で交わす、幼なじみへの思い

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 第二章 「手紙の思い出」  二人が図書館を出た時には午後一時を過ぎていた。「どこでお昼食べようか?」ラーメン屋やインド料理の店が並ぶ通りを歩きながらルカが秋二に聞くと、「この近くに俺の高校時代の先輩が働いてる『ブルーメ』っていうカフェがあるから、そこに行かないか?ちょうど今、春にしか作らないスコーンが デザートで出てくるんだ」彼の言葉に、一気にお腹が空いてくるのを感じた。  印刷屋の前にある信号を渡ってまっすぐ進んでいくと、前方に『カフェ ブルーメ』と書かれた看板がかかった茶色いドアが見えた。教会のような小さな建物の中に入ると、奥から髪を金色に染めた若い男性が出てきて、「いらっしゃいませ」とお辞儀をした。  二人が奥の席に座ると、彼はメニューとコップに入った水を持ってきて「ご注文はお決まりですか?」と聞いた。二人はメニューを見ながら「私はハムとレタスのサンドイッチ」、「俺はトマトとチーズのパスタ」と答えた。彼はメニューを持って奥へ入っていった。  待っている間、二人は手紙の思い出について話すことにした。「秋二は手紙ってもらったことある?」「うん。小さいころ、父方のおばさんからよくもらってたよ」「今は?」「一通も来てないな。お前は?」「私は先週、大学時代の先生からいただいたよ。嬉しかったな」ルカはそう言って水を一口飲んでから「私たちが今日書いた手紙は、来週それぞれの家に届くんだよね」と呟いた。「うん。手紙ってさ、自分の言葉で相手に最近の様子を伝えられるからいいよな」と窓の外を見ながら彼が言う。  そんな話をしていると、「お待たせいたしました」と言ってさきほどの男性が彼らのテーブルにパスタとサンドイッチの皿を運んできた。「おいしそうだね」「ああ。食べよう」二人はできたばかりのパスタとサンドイッチを分け合いながら食べた。  
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