響留のこと

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響留のこと

響留は細身の男子だ。 メインの仕事は、フルート奏者。 でも、それだけでは金銭的に暮らしていけないので、副業をしている。 そこそこ女性にはモテるのだが、時々男性にもモテている。 レジャーや飲み会の類いは、ほぼ全て断って、その時間を音楽の練習に充てている。 だから、パッと見でモテても、それ以上の発展はほぼない。 どれだけ第一印象でモテても、そのあとの発展性がないのであれば、良い人どまりで終了する。 それから、土曜日と日曜日はたいてい演奏会に出演している。 お金をもらわないボランティアコンサートにも積極的だ。 演奏会のない日は、副業の仕事をして、それから音楽の練習をする。それは体調が悪くて熱が出ていようが必ずする。 フルートを吹くと、心が落ち着くそうだ。 それと、幼い頃の自分との約束なんだそうだ。 私は今は基本的にイエネコだ。でも、そんな響留の右目の視覚とリンクして、外の様子や響留の見ているものを見る事ができる。 しかし、何かを得るときには何かを失うのか、響留の左目は中学生以降、視力を失ってしまった。 だから、遠近感がなく、よく躓く。それに球技がとても苦手だ。 乗り物はもっぱら公共機関と自転車。車は視力の問題から、自分では運転しない。 少し不便だけど、概ねごく平凡な生活をしているが、響留の人生は、なかなか興味深い。 音楽を通してのみ、人と繋がる。 人が好きなくせに、心に分厚い壁をもつ。 響留はそんな面倒くさい人間だ。 でも、私にとって、誰よりも大切な存在だ。 この物語は、私の大切な響留と私の物語だ。
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