予兆を感じる。

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予兆を感じる。

朝起きて、いつもと何かが違う。 身体が重いだけではなく、何か若干の違和感。 そういうことがないだろうか。 それはちょうど 雨が降る前の、毛並みがしっとりして眠たくなる感じかもしれない。 例えば、水道の蛇口をひねって、その水で顔を洗って、蛇口を締めたときに、いつもは2滴の水滴が落ちるところが今日は4滴だった。 とか、 朝、たまたま開けたフルーツ缶詰のパッケージの賞味期限を見てみると、知り合いの誕生日だった。 とか。 そういうのを、響留は予兆とかと呼んでいる。 かといって、その日に起きる出来事は避けられない。何かしらの事は起きる。ただ、良い意味でも悪い意味でも、予兆を知ることでそのダメージを軽減することは出来る。 それは、響留に言わせれば、心の保険でもあるそうだ。 心の保険とはよく言ったものだ。 ・・って、ほとんどは私が響留に気付かせているんだけどね。 今日はきっと、譜面台のネジが演奏中に外れて、譜面をぶちまける。 でも、なにか起きると予兆を感じて、心の保険をかけておけば大丈夫。 響留、絶対に大丈夫。それでも演奏は出来る。 今日も行ってらっしゃい。
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