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扉を開けた手が止まる。
私、勘違いしていませんか。
あの子の牽制という進入禁止。
この扉の前にも、掲げられていませんか。
片想いという一方通行。
現実から目を背けて、突き進んでいませんか。
どこかにあったかもしれない一時停止。
見落としてしまう程、盲目ではありませんか。
焦って投函するこの手紙は、
速度制限で捕まってしまいませんか。
あの子より先にと出し抜いた場所に、
追越し禁止はありませんでしたか。
数年かけて積もった、
澱のようなこの気持ちは、
重量制限に引っ掛かりませんか。
信号も標識もない昇降口で、
立ち止まっていた私という唯一。
その横で停止した貴方。
落日のヘッドライトに浮かぶ二つの影。
ランプの代わりに交わす視線は、
勘違いではありませんか。
駐停車禁止の有無も分からず、
無意味に立ち止まっていたのではありませんか。
自動運転の人工知能のように、
有りもしない標識に止められていたのではありませんか。
貴方の前で踏むものは、
ブレーキではなく、
アクセルで合っていますか。
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