あの子がいなくなった

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アルビノの二十日(はつか)(ねずみ) スウ は、狭い路地を建物に沿って走る走る。 あいつはもう、追って来ていないみたいだ。 心臓はバクバク、破裂寸前。 スウの赤に(きら)めく宝石のような瞳には涙が滲む。 (悲しいわけじゃないのに……) 生理的な涙になんかかまっていられない。 スウは痛む心臓を両手で押さえつけた。 (もっと走らなきゃ……。おさまれ! おさまれ!)
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