あの子がいなくなった

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「ふわぁ!」 「やぁ。また会ったね、スウ」 「シル! ……なんでいつもいつも僕を追いかけるの」 「それは俺が猫だからさ」 「鼠なんて沢山いるんだ。他所へ行ってよ」 「ああ、沢山いるね。だけど君は白くて目につくのさ」 「……だから嫌なんだ……こんな体……」 「なぜ? とても綺麗だよ」 「お願い。僕、この町を出るから。もう、二度とあんたの前に姿を見せないから追いかけて来ないで! お願いします」 「他の町にも猫はいる。君なんか簡単に喰われるぜ」 「……あんたじゃなければいいよ。喰われたって。追いかけて来るのがあんたじゃなきゃいい! ……あんたは僕を追いかけ回すだけ追いかけまわして……何にもしないじゃないか!! いったい僕をどうしたいのさ?」 もう嫌だ。限界なんだ。心臓が痛いんだ。 スウは自分のしっぽを噛みちぎった。
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