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生徒会室の場所はどの学年の教室からも離れた場所にある。
生徒会では内密に話を進めることも多いということで、廊下を挟む窓とドアは擦りガラスで中は見えないようになっている。
足を踏み入れるのはひと月ぶりくらいだろうか。
ひっそりとしたその一角――…
辺りには私とゆうちゃん以外は居なさそうだ。
梨乃「今、開けます。」
鍵は生徒会長である私が管理している。
ポケットから専用の鍵を取り出すと、私はそのドアに手を掛けた。
古い鍵の音がガチャリと廊下に響く――…
ガラリとドアを開ければ、締め切っていたということもあり、中から埃っぽいにおいがモワッとした。
梨乃「換気しなきゃ…」
まっすぐいくと、そこには窓がある。
梨乃「春休み中はあまり使用しないので……」
校庭を見渡せるその窓を開けると、そこから春の匂いが入ってきた。
桜の香りがする――……
その時、さっき入ってきたドアの鍵がガチャリと閉められる音がした。
振り返ると、ゆうちゃんがそのドアの鍵を閉めたところだった。
梨乃「…え……」
鍵を閉めるとゆうちゃんはゆっくりと振り返った。
視線が交わると、妖艶な瞳で私を見つめながらゆうちゃんは一歩一歩近づいてくる。
そして、私の元へくると目を細めて――……
祐「…やっと二人きりになれた……」
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