追想

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桜の舞い落ちる春、私たちはその日を迎えた。 20XX年春――… 私は高校二年生になった。 成瀬「一年なんてあっという間だったな。なんか初々しいよなぁ。俺もついに先輩になるのか。」 今日は私の通う高校の入学式。 我が子の晴れ舞台を心待ちに、保護者が緊張した面持ちでその瞬間を待つ。 成瀬「あ、そろそろか……」 時計の針は午前10時を指した。 と同時に、指揮者が腕を振り上げる。 ブラスバンドの演奏に合わせ、真新しい学生服に袖を通した新入生達が体育館の入り口から入ってきた。 まるで軍隊のように同じ服を着た集団が歩く姿に私はまだ慣れない。 そして相変わらずの地味で子供じみた演出。 (向こうのハイスクールに通いたかったなぁ…) 一年前までアメリカのスクールにいた私にとって日本の学校はとてもじゃないが魅力を感じない。 でも、日本にいるのはあと少し。 あと二年すれば私はアメリカに再び戻るのだから。 夢を叶える為に━━…
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