ゲノム

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ドアを開けるとそこはいつもとは違う雰囲気。 梨乃「ただいま。」 部活を終え帰宅すると来訪者の気配。 もう20時を超えているというのに誰だろう。 話をしているのだろうか。 いつもなら帰宅すればすぐにママは私に気づいてやってくる。 それなのに今日はやってこない。 とはいえ、帰宅したことを伝えておかないと、ママが心配する。 私は玄関から近いそのリビングに繋がるドアを開けた。 するとそこには以前から私が会いたかったその人がいた。 梨乃「由利さんっ?」 由利「…え……愛……じゃないな……アンタ、梨乃か?!」 由利さんは驚いた顔で私とママを交互に見ている。 梨乃「うんっ。梨乃だよ。初めまして。」 由利さんはママの幼馴染。 彼女とはオンラインで話したことがある。 ママの尊敬する友達で、よくママとは連絡を取り合っている人だ。 由利「初めましてでもないけどな。ん、梨乃。こっちでの生活は慣れたか?」 梨乃「んー……どうかなぁ。あ、由利さんはどうしてここに?」 由利さんの旦那さんは警察官。 転勤族ということもあってこの街から一時間半ほどのところに住んでいる。 その由利さんがこんな時間にうちに来ているなんて。 由利「この四月から異動になってさ…」 聞けば、人事異動でつい昨日、この街に引っ越してきたとか。 梨乃「そうなんだ。あ……えっと由利さん?」 由利さんの隣には小学生くらいの男の子が座っている。 由利「あぁ、こいつな。うちの坊主。ほら、ちゃんと挨拶しな?」 ソファから立ち上がると彼は凛とした表情で私を見据えた。 真「石崎涼真(いしざきりょうま)です。小学五年生になりました。よろしくお願いしますっ!」
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