追想

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新入生が着席すると式が始まった。 やたら長い校長の話はいつものこと。 (もっと手短にしてくれないかなぁ……) 見れば新入生だけでなく保護者席にも欠伸をしている人がチラホラ。 (そりゃね、言いたいことが伝わってこないんだよね…この校長…) 練習したと思われる挨拶。 カンペ片手に無駄にダラダラと読む姿は滑稽だ。 (…退屈……) とはいえ、私はこの高校の生徒会長。 この後、生徒代表としての挨拶があるからエスケープするわけにはいかない。 (こんなことなら生徒会長なんて引き受けるんじゃなかった…) そんなことを思っていた時だった。 どこからか、視線を感じた。 だけど、その視線の主を見つけることができない。 (気のせいかな……) 成瀬「はー…やっと終わったな……」 私の隣に座るその男子生徒は副会長の成瀬奏多(なるせかなた)。 腐れ縁で今年も同じクラスになった成瀬は陸上部に所属。 陸上の名門校であるこの学校へ入ることが夢だったらしい。 陸上部には昨年まで名顧問がいた。 その顧問に教えてもらいたくてきたらしい。 ところが今年から顧問が交代。 ツイていないにも程がある。 司会『それでは担任と新たに迎えました教師を紹介いたします。」
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