ゲノム

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そんな日が私にも来るのだろうか。 由利さんが私の頭をクシャリと撫でた。 由利「まだ好きなんだろ?その男のコト…」 梨乃「うん。」 由利「そんな簡単な想いじゃないんだったらさ、もう少し粘ってみるのも手かもよ?」 梨乃「…粘る?」 由利「恋愛は駆け引きとも言うだろ?押してダメなら引いてみろって…」 それは初めて聞く言葉。 梨乃「そんな駆け引きなんてしなくても直球で勝負した方が分かりやすくない?」 『自分の気持ちははっきりと相手に伝える方がいい』 小さい頃からそういう風にパパとママから言われて育った私にとってその由利さんの言葉は衝撃だった。 由利「時と場合によるって。そりゃ気持ちぶつけた方が想いはすぐに伝わるよ。けど、相手が自分と同じような想いじゃなけりゃ驚かせるだけだろ。」 実際、ゆうちゃんも私が好きだと言った時、すごく驚いた顔をしていた。 そして戸惑っていて――… 由利「いろんな人がいるんだ。受け止め方は人それぞれだろ?ほら、パパだっていろんな球放るだろ?相手によっていろいろ駆け引きしてんだよ。あれと似たようなことだな。」 由利ちゃんの言ったことがストンと私の胸の中で落ちた。 梨乃「そうか……Keep trying different ways……ってことか…」 考えてみればあんな場所で突然の告白。 しかも、一回り以上も離れた、同級生の子供から告白されたのだから戸惑っても仕方がないのかもしれない。 由利「英語は分かんないけどさ、想いをぶつけるだけじゃダメだって。相手のことを考えられるのも大人の女だしな。」 そう考えると私はゆうちゃんに子供扱いされても仕方がなかった。 梨乃「梨乃、悪いことしちゃったな……」 私はゆうちゃんの気持ちをまったく考えていなかった。 自分の気持ちだけ押し付けただけの幼い子供だった。 そんな私じゃ、ゆうちゃんに受け止めてもらえなくても仕方がないのかもしれない。 ゆうちゃんに立派な女性と認めてもらうにはもう少し時間が必要なようだ。 梨乃「…由利さん、私もう少し粘ってみる。」 幸い、ゆうちゃんはまだ独身だし彼女もいない。 フラれたけれど、ゆうちゃんは私のことを嫌いでもなさそうだ。 だったらこのまま諦めるなんてできない。 由利さんの言う『駆け引き』だってまだトライしていないんだから。 梨乃「…梨乃……諦めない…」
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