追想

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司会『それでは来賓者の紹介に移りたいと思います。』 この時間が一番退屈だ。 何せ見たこともなければ聞いたことのない人たちの名前が飛び交う時間。 そして、来賓祝辞のこれまたつまらない内容。 とはいえ、学校を支えるスポンサー的な人も多々いる。 だから蔑ろにできない学校の気持ちも分からないでもない。 来賓席は新入生を挟んだ向こう側に構えられている。 名前を呼ばれ次々とその場で挨拶をしていく来賓者たち。 (『あなたは誰ですか?』) そんな顔で生徒も保護者も見つめている。 来賓として出席するのはいいけれど、この紹介は時間の無駄。 再び睡魔に襲われてきたのか、生徒や保護者の頭がカクンカクンと動いている。 忙しい中、時間を作ってきただろう保護者もいるというのに全く何をやっているのか。 もう少し内容のある式にすればいいのに。 そして、ようやく紹介が終わったかと思いきや、ついに来賓祝辞の時間がやってくる。 司会『それでは来賓を代表いたしまして、大泉グループCEO、大泉祐様よりご祝辞を賜ります。』 (……えっ……)
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