二.

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ようやく結ばれた縁もこの通りほどけてしまいました。 おそらく、百の縁に結ばれていても、これだけは決して失いたくないと思っていたのが、あなたのお兄様とのご縁でした。 彼は無二の親友でした。そして理解者であり、相談相手であり、私の精神的支柱でありました。 彼をごっそり失って私はどこを向いてどちらの足から歩き出したら良いのでしょうか。 いまとなっては思い出せない会話がいくつもあるのが悔やまれます。 あれだけ相談を持ちかけておいて、救われる言葉をいくつもかけてもらったのに、いつの間にか忘れてしまうのだから、いい加減なものだと我ながら呆れてしまいます。 しかし、言葉は忘れても、そのときに感じた気持ちはちゃんと覚えています。 前を向こう、このままで良いのだ、自分のことを認めてくれている人が確かにここにいるのだと、あなたのお兄様にそう思わせてもらえたから、私はここにいられるのです。 彼のいない世界はつらいですが、生きていこうと思います。 私の心のなかにいる、あなたのお兄様を支えにして、どうにかこうにか生きていかなければならないと思っています。 心が張り裂けそうですが、その度に私は思うのです。
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