二.

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突然、だれかも知らぬ人間からの手紙に戸惑われたことと思います。失礼をお許しください。 私はあなたのお兄様にとても良くしていただいた者です。 この度はまことに御愁傷様でございました。故人のご冥福を心よりお祈りもうしております。 このようなことになってしまい、言いあらわす言葉も見つけられないほどに残念でなりません。 日頃から、本を読むなり感想を語り合い、おいしい料理店の噂を聞けば行ってみようと予定をたて、どこそこで子猫が生まれたので見に行こうなど、なにかにつけて話をしておりましたので、いまは気持ちが突き当たってしまっています。 なにをするにもお兄様が思い出され、つらいです。 もう二度と会えないことが心底つらいのです。 いままで生きてきたなかで、どの別れ、出来事よりも、くらべるまでもなく激しく心が痛んでいます。 お兄様と出会ったのは、現在住んでいる街とはちがう町でのことでした。 当時わたしは書店に勤めており、お兄様はお客様でした。 覇気のある声なので、いらっしゃるのがすぐにわかりました。目当ての本が見つからないときは、決まって私に訪ねてくださいました。
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