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 知り合いに話したところ、「気味が悪いから早く捨てなさい」と言われてしまった。  藍に夜色のインク。  触れたら冷たそうな細い線。  ため息でさえ浮き上がってしまうだろう軽い運筆。  アイボリーの紙の上に、藍の蔦が美しいラインを描いている。  懐かしい友人の言葉を象る、──── 全く別人の文字。  誰かが友人を騙って、私に語りかけている。黄昏に輝く昔日の思い出。  差出人の住所は、友人の家ではない。  そこは海だ。  ちょうど一年前の夏、友人が誰にも知られずその身を放り投げた、あの灰色の空の。  重々しい波打ちの音響く、海からの手紙だ。
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