恋愛RPG

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とりあえず、いろいろごまかすためにお酒を追加注文した。緑川のグラスも空いていたので「ビールでいい?」と聞きつつ、自分はカシスミルクにした。「かーわい」とイケメンがチャチャを入れてくるが、かわいこぶっているわけではない。単純に牛乳が好きなんである。 「もらってうれしかった手紙とかあるの。印象的なやつとか」 届いたお酒で新しく乾杯しつつ聞いてみる。するとめずらしく緑川は、ちょっと困ったような顔をした。 「ラブレターって、あんまり知らない人からもらうことが多いから。うれしいっていうか、申し訳なくなる」 「そういうもん?」 「うん。気持ちはうれしいけど」 残念ながら、よく知らない人からの申し込みには、けっきょく応えてあげることもできない、て、まあそりゃそうかもな。 「でも、ラブレターじゃないけど、もらってうれしかった手紙ならあるんだ」 「へえ?」 こんなにモテまくりで、好意も褒め言葉もいやというほど浴びまくっているイケメンをも喜ばせる手紙とは、いかようなものか。 ちょっと、いやかなり興味をそそられ、続きを促すようにカシスミルクをごくんと飲み込む。 緑川は、少し熱っぽく潤んだような瞳で、こちらを見つめながら、話しはじめた。
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