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瑞樹には中学時代、親しい友人がいた。小学校から一緒だったのだ。よくつるんでいた。
高校生になってもちょくちょく休みの日などに会っていたけれど、やはり学校が違うというのは学生にとって大きい。多少の距離感はできてしまった。寂しいことであるが、仕方がない。
なので高校一年生当時、少なくとも同じ学校に親友と呼べる存在はいなかった。部活でできた同級生や先輩、あるいはクラスメイトなど親しく話せる存在は多かったけれど。なにしろ社交的だ。
その頃、玲望にもどうやら特別に親しい友人というのはいないようだった。瑞樹と同じく、駄弁ったり、ランチなどを共にするような友人は多いのだが、特別、という存在は感じたことがない。
それは瑞樹にとってある種の期待を抱かせてしまう事実だった。
勿論、自分が親友のポジションになれるのではないかというものではない。違う意味での『特別』。自分がそれになれる可能性はある。
実現する可能性は低かった、と、少なくともそのときの瑞樹は思っていた。
けれどゼロではなかった。自分がどんな意味でも特別であったのなら、そういうふうにコトが転ばないと、どうしていえよう。
つまり、瑞樹は玲望を友人としてではなく確保しておきたいと望むようになっていたわけだ。
端的に言うなら恋をした。そういうことだ。
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