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魔法省
「兄貴から呼び出しあったぞ」
グエンから言われてまたかぁと思う。
グエンの5歳上の兄ヴァイスは、魔法省に勤めているのだが、事ある毎に僕を呼び出すのだ。目的は魔法省への勧誘。魔力が高く、前世の知識がある僕を軍隊から引き抜きたいのだ。だけど僕は軍隊が気に入っているし、グエンもいるから断っている。大体、前世の知識と言っても、前世とは違い電気もない、機械もキットもない今世で何が出来るでもなく、ただ衛生管理の重要性と算盤、計算方法、酸やアルカリなどの化学の基礎知識、簡単な緊急蘇生処置など、僕でもすぐ出来る事を伝えただけだ。知識は広めてこそ価値があるし、知っていて黙っているのも間違っていると思ったから。役に立つしね。前世で研究員だったから、少し化学知識があったのも良かった。それは今世でとても役に立ち、疫病や飢饉も少なくなった。良かった!
と、喜んでくれただけで満足だったのだが、
「神童だ!」
困った。周りが持て囃した。両親もだ。
もう少し歳上になってから言えば良かったと後悔したところに、魔法省からの勧誘が毎日襲ってきて、軍隊に入りたかった僕は逃げ回る日々を入隊まで送り続けたのだ。両親も魔法省に入ることを勧めてきたが、僕の意志が固いと分かってからは、上手いこと逃してくれていた。有難う父上母上。
何故軍隊に入りたかったかって?それは前世では無理だった魔法と剣術を思い切り使ってみたかったからだ。魔法省は前世でいう研究所だから、ほぼデスクワークだしね。未分化とは言え、前世より力強く動く筋肉と溢れる魔力。使ってみたいじゃないか!まぁ、グエン程凄くないけどね。
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