ヴァイス

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ヴァイス

魔法省に着くと重厚なドアが行く手を阻むのでノックしようとしたら、 「待っていた!来い!」 お兄様に強引に引っ張り込まれた。 「この反応が思ったようにいかないのだが、これが少な過ぎたのか?」 「いや、それは反応時間が足らないだけだと」 「そうかー一安心だ。感謝する」 グエンの兄ヴァイスは魔法省の長官、齢20にして大出世なのだが、デスクワークも放り出して研究三昧の所謂変人だ。見かけはグエンと同じ、目が潰れる程の美男だが、溢れる変人パワーはこの人を残念なものにしている。婚約者がいるそうだが、変人すぎて嫌がられているのか?未だに独身。公爵家の未来は暗い。本人は全く気にしていないのが、余計にヤバい。 「じゃあ、問題解決したし、失礼しま」 「逃さん!」 速攻で逃げようとしたら、腕をつかまれ逃げられなくなった。まぁ、いざとなったら某ポケモ○のように電撃見舞って逃げるけど。ぴかちゅ○〜 「もう仕事も終わったし、部屋で休ませて下さい!」 「こちらに移る気はないのか?まだ軍隊にいたいのか?」 「いたいに決まってるじゃないですか!魔法省はデスクワーク三昧でストレス溜まるんです!」 「トレーニングジム作るから!」 「要らんところに大事な予算使うな!」 まぁ、毎回こんな攻防が。続いて、 「嫁に来る気もないか?」 「未分化です!後継ぎ産めません!」 求婚もセット。もう嫌だここに来るの。婚約者はどうした? しかし、上官だしグエンの兄貴だし、無下にも出来ないよなぁ。 「やっぱり弟の方が良いのか?」 「そんなんじゃありません!」 もう嫌だ〜 そこへ、ノックの音がして迎えが来たようだ。 「兄上、アレンに無理言わないで下さい」 「勿体ないだろ。この知識にこの美貌。この性格!我が公爵家に迎えるべきだ」 「こいつ性格は大雑破だし、大食いですよ」 「黙ってたら分からないから問題なし!」 そうですか。喋ると残念なのですね。
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