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新たな性別
医者に行こうと決めた日の前日、グエンから
「兄上のところに2人で来いって」
呼び出しがあったので、一緒に魔法省に向かった。
「何ですか?また実験で問題でも?」
「まぁ、かけたまえ」
椅子に座ると徐に身を乗り出してきて
「分化、始まっているよね」
ビックリした。何故知っているんだろう?グエンから聞いたのか、見かけでは分からないはずだ。
「何故ですか?」
「グエンと相愛だし、分化が始まったらすぐ結婚するだろうと思っていたから。中々吉報が来ないなぁと」
「見て分かるでしょ。まだ分化しきらないんです」
ヴァイスは僕を上から下までじーっと眺めつつ、
「色気増し増しだね!」
「茶化さないで下さい!これでも悩んでるんです!」
「あぁ、それは未分化じゃないよ」
「えっ?」
「Ωという、外見は未分化だけど女性体に変化したのだよ」
「Ω?何ですかそれは?」
「私が説明するわね!」
突然女性の声がしたので驚いたら、ヴァイスの婚約者のソフィーナ姫がツカツカと入ってきて、ヴァイスの横に腰を下ろした。
「詳しいことが分かったかい?」
「えぇ、勿論!だから来たのよ」
姫はΩという性別について、詳細を教えてくれた。
外見は未分化に近いこと
女性体(β)と同じで妊娠出来ること
優秀な男性体(α)と結ばれるとαかΩの子供が生まれること
αと番になると互いにのみ分かるフェロモンが出ること
定期的に発情期がくること
一般の(β)性とは子供が出来ないこと
えっ?もしかしてーー
「ーαと番になると子供が出来るってー」
思わずお腹を撫でる僕を見て、
「まだ出来ていないよ」
ヴァイスが訂正した。僕達ーしてるし、避妊なんてしていないのに…分化しきっていないと思っていたからー
「番になるにはαが射精するとき、うなじを噛まなければならないんだよ」
「そうなんだ!あぁ」
まだ僕は妊婦ではないようだ。
覚悟が足りなかったからホッとしたが、少し寂しい気もした。グエンとの子供ならとても嬉しいから。
「まだ少し安定していないので、体調変化と他のαには注意してね」
ソフィーナ姫に言われて気を引き締めた。
「有り難うございます。不安が解消されました!」
「で?嫁にはいつ来るんだ?」
ヴァイスが聞いてきたので僕は、
「心と身体が安定したら、グエンと相談します」
そう返事したのだった。
グエンに抱き寄せられ、不安定な心も落ち着いてきたのを感じた。
嫁かぁ~
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