はじめまして

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はじめまして

 僕はアレン。15歳。ここは水の国アクア。豊かな自然と豊富な水、沢山の資源に恵まれた美しい国だ。この国の子供達は15歳まで男女未分化で、大抵15歳過ぎると性別が決まる。年老いて死ぬまで未分化のままの人もいる。かく言う僕も未分化で、このままかなぁと思っている。 「ぼーとすんな。真面目にやれ」  ドスのきいた重低音で文句を言ってきたコイツはグエン。同い年で男性。羨ましいことに、もう性別変化済みだ。幼なじみで公爵家の次男。次男だから家を継がなくて良いので、僕と一緒に軍隊に入った。2人ともルーキーで、今は軍事練習中。   「いたっ!ごめんごめん。真面目にやるよ」  怪我をしてはいけない。真面目にやろう。僕は剣を振り回すより、魔法や暗殺向きで、グエンはパワータイプ。大きな身体が振り回す大剣は、国1番の猛者だ。羨ましい。 「アレン!気を抜いた罰で城の周りを5周な!」 うわー。上司に怒られた。行ってきます。   (グエン)  アイツはいつも暢気だ。幼なじみのアレンが罰で走らされているのを眺めつつ、休憩をとっていると同僚達がアレンに 「アレンちゃーん。また罰ゲーム~。終わったら一緒に食事しないか~」 と、ナンパする声が聞こえる。これも毎日恒例行事だ。ナンパしてるアホにゲンコツを落とすと 「バカグエン!暴力反対!」 等とほざくので、さらにゲンコツをお見舞いして沈没させておいた。  アイツはもてる。美しい銀髪と海のように深い蒼い目。優しい顔立ちときたら、ほぼ男だらけの軍隊において、掃き溜めに鶴だ。こうして危険を潰しておかないと、未分化とは言えヤバすぎる。アイツは自分のことをちっとも分かっていない様で、 「僕はちっともモテない。グエンはいいなぁ!」 等と言ってくる。鏡をみてから言えって思うんだがな。 (アレン)  毎日走らされて、上司に目を付けられているとしか思えないんだが、まぁ僕も悪いので頑張って走っていると、同僚達のヤジが聞こえてきた。グエンはと言えば、楽しそうに同僚達と戯れている。いいなぁ!しかししんどい。あと3周。  グエンはもてる。休みの日に城下町へ遊びに行くと、お姉さん達の熱い視線は僕を素通りして、僕の隣の高い位置に釘付けだ。ワイルドで男前だもんなぁ。 実は僕は前世の記憶が少しだけあり、前世では女性だった。よく小説である異世界転生タイプではなく、ちゃんと輪廻してきたものと思われるのだが、微かに記憶が残っている。事故も病気もなく、長い生涯を家族に囲まれ幸せに終えたのだが、併せて齢100歳越えの僕から見ても、グエンの格好良さは群を抜いている。前世のモデルや俳優も勝てない、目映い程だ。直視すると、見慣れている僕でも顔が赤くなる。日焼けした肌に彫りの深い顔、艶やかな黒髪に緑の宝石のような目、抜群のスタイルに公爵家の次男とくれば、この国の女性ばかりでなく外国からもお見合いの話が溢れているらしいが、本人は 「面倒くさい」 と言って、全く相手にしていない。グエンの両親もまだ若いからと、好きにさせているので今は軍隊で僕達と訓練三昧だが、何れ時が来れば何処かのお姫様と結婚して、政治の世界に入るんだろうなぁ~、強いから軍の最上位辺りもありかなぁと思っている。  僕の家は男爵だから、お友達させて貰えるのもあと少しかも知れない。寂しいけど、親友が出世するのは誇らしいから。頑張れグエン! (グエン)  漸く罰ゲームから戻ってきたアレンを捕まえて食堂へ行く。軍隊の食堂の割りに、ここの食事は美味で気に入っている。量が多いのは軍隊らしいが。細身のアレンは見かけによらず大食いで、早速凄い勢いでハンバーグが無くなった。物欲しそうに俺のハンバーグを見ているがやらんぞ。ヨダレこぼすな。 「グエン。ハンバーグ要らないの?僕が」  「やらんぞ」 「まだ言ってないのに~。一口だけ」 「やらんぞ」 俺は好物は最後に食べる派なんだ!  
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