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その築山で上を見ると、うっすらと月が見える。
『だれだ!」
警備員だか用務員だかが懐中電灯を照らして、こっちに向かって走ってくる。俺は上半身裸のまま校庭を駆け出した。
汗が飛び散り、血しぶきがまう。俺はどこまでも走れるだろうか。彼らから逃げきれるだろうか。
月が後ろで静かについてくる。
フェンスを乗り越えてもまだ、走り続けた。彼らは追うのをやめない。せっかく見つけた獲物だから、俺をさらし者にするまで、あきらめないだろう。
ときどき振り返って月を見る。あいかわらずうっすら見え隠れして、あとをついてくる。
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