ルナ、お手伝いしたもん

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ルナ、お手伝いしたもん

【アメリカ ロサンジェルス】  たまご色の羽をまっすぐに伸ばし、オカメインコが風を切って、サンタモニカ山脈の深い森の中を飛ぶ。  チークを塗ったようにオレンジ色に染まった頬が愛らしいその鳥は、キョロキョロと辺りを見回し、レンガの壁と緑の屋根の上に設えた青銅でできた風見鶏を見つけると、まっしぐらに下降して行った。  風見鶏に停まって、眼下を見ると、庭木にはクリスマスツリーに飾るためのサテンでできた赤いボンボンが揺れている。  今は5月で、普通ならこの飾りを目にするはずはなく、またサンタモニカ山脈のこの辺りは、ほとんど人の住まない所なので、同じ飾りがあるかどうか調べようにも近隣に家は見当たらなかった。  聞いていた目印に間違いないと分かると、オカメインコのルナは再び羽ばたいて1階の窓へと近づき、くちばしで窓ガラスを叩いて合図を送ろうとした。 (あれっ?窓が開いている。ルナの為に開けておいてくれたのかな?)
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